
AIと共に創る!主体性を育むWeb制作授業
松尾 俊宏 先生
モード名:普通のGPT(Web制作支援モードとして活用)
対象:高校3年生
教科:情報(デジタルコミュニケーション授業)
▼ポイント
・Web制作授業に生成AIを導入し、HTML・CSSコーディング支援やデザイン改善を実現
・生徒一人一人がAIと対話しながら制作を進めることで、オリジナル作品のクオリティが大幅に向上
・AIとのやり取りを通じて、生徒自身の「質問力」や「主体的な探究力」を育む指導を展開
Q:まずは自己紹介をお願いします。
A:日進高校で情報科を担当している松尾と申します。来年度学びの多様化学校として附属中学校が開校予定であり、私はそのスタートアップに携わっています。本校はDXハイスクール事業にも採択され、ICT環境整備や先端的な授業改革を進めている学校です。これまでもWeb制作の授業やDX推進に積極的に取り組んできました。
Q:作られているモードの名前と概要、その背景と目的を教えていただけますか?

A:使用したモードは「普通のGPT」です。背景としては、従来のWebページ制作授業で、生徒たちがオリジナル作品に取り組む際、知識不足やスキル不足から制作が停滞するケースが目立っていました。そこで生成AIを活用することで、制作プロセスを支援し、生徒一人一人の完成度を高めることを目的としました。
また、振り返りや自己表現の支援にもAIを活用したいと考えていましたが、試行段階ではAIが生徒の次のステップを先取りしすぎる課題も見られたため、調整を加えながら実践を進めました。
Q:具体的な活用方法を教えていただけますか?
A:3年生の学校設定科目「デジタルコミュニケーション」の授業で活用しました。まず、Web制作の基礎を学んだ後、オリジナルサイト制作に取り組む段階で、HTMLやCSSコードに関する疑問点をAIに相談するスタイルを取り入れました。
具体的には、HTMLコードやCSSデータを順番にAIに読み込ませ、ハンバーガーメニューの作成やレスポンシブデザインの実装など、個別に深めたい内容をAIに質問させました。これにより、生徒たちは自分の希望するデザインや機能をスピーディに実現できるようになり、制作物の完成度も大幅に向上しました。
また、AIとの対話を通じて、生徒自身が自ら課題を発見し、次にやるべきことを主体的に考える力が育まれたと感じています。
Q:実際の導入効果や教員・生徒の反応はいかがでしょうか?

A:AIを取り入れたことで、Webページ制作のクオリティが全体的にレベルアップしました。これまで個別に時間をかけても成果が出にくかった生徒も、短期間で高い完成度の作品を仕上げることができました。
生徒の反応も良好で、特に一部の生徒は毎回授業のたびに自ら改良を加える姿勢を見せていました。クラス活動やホームルームでもAIを活用する場面が広がり、BGM作成や体育祭のチーム編成など、日常的な場面にも浸透してきています。
教員側も、生成AIの導入によって生徒の主体性が引き出され、これまで以上に意欲的に取り組む姿勢を評価しています。校内でのコンテスト受賞者数も増え、活動の成果が校内外で認知されるようになってきました。
Q:導入に際する注意点や浸透するための工夫について教えてください。
A:一番の注意点は、生徒がAIを単なる検索ツールとして扱ってしまわないようにすることです。初めは「調べるだけ」の使い方に留まりがちでしたが、対話を通じて情報を引き出すという意識を育てることが重要だと感じました。
そのために、AIに質問する際の表現方法やコミュニケーションの取り方を個別に指導し、「自分の意図を正確に伝える力」を伸ばすことを心掛けました。また、生徒自身が「なぜAIを使うか」「どう使えばより良い結果が得られるか」を考えさせることで、ただの受け身の利用ではなく、積極的な活用へと繋げました。
Q:今後の展望についてお聞かせください。
A:今後は、DXハイスクール事業の一環として大学との連携授業(メタバース空間での授業)にも取り組みます。その中でもAI活用の可能性を探っていきたいと考えています。
また、レゴロボコン出場に向けた探究活動でも、地質学などのテーマに関する調査や仮説立案をAIでサポートする計画です。探究学習やプロジェクト型学習において、AIを思考のパートナーとして活用し、生徒たちの探究の質を高めていくことを目指しています。
Q:スクールAIに興味を持っている先生方へメッセージをお願いします。
A:まずはとにかく使ってみることが大切です。最初はハードルが高く感じるかもしれませんが、一度使い始めると、あらゆる場面で活用できることに気づくはずです。
学校生活の中には、ホームルーム運営やクラス企画、探究活動など、AIが力を発揮できる場面がたくさんあります。生徒にIDとパスワードを配布し、自由に試せる環境を整えることで、学びの幅がぐっと広がります。ぜひ一歩踏み出してみてください。