
AIを“伴走者”に、社会科の問いを深める学びへ
― 子どもが主体的に探究する授業づくり ―
福田 一真 先生
アプリ名:社会科探究AI(モード選択型)
対象:小学校(中学年~高学年)
教科:社会
▼ポイント:
・AIモードを限定せず、子ども自身が目的に応じて使い方を選択することで主体性を引き出す
・問題生成や表現の添削を通して、理解の定着とアウトプットの質向上を同時に実現
・「ディスカッションモード」により多面的な視点を得て、新たな問いを生み出す探究を促進
・調べ学習で終わらせず、「もっと知りたい」を引き出す対話型の学びを実現
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▷アプリお試し:【社会】「倉吉市民の願いを実現する政治」ディスカッションモード
Q:まずは自己紹介をお願いします。
A:鳥取県倉吉市立西郷小学校に勤務して5年目になります。校内研究の柱である社会科を中心に、子どもたちが自ら問いを見つけ、主体的に解決していく学びを大切にしています。社会的事象を自分事として捉え、探究的に学ぶ姿を目指し、その学びを支えるツールとしてICTや生成AIを活用した個別最適で協働的な学びの実践に取り組んでいます。
Q:作られているアプリの名前と概要、その背景と目的を教えていただけますか?
A:本実践では、子どもたちに公開するAIモードをあえて限定せず、どのモードを使うかも含めて児童自身に選択を委ねています。
歴史の学習では、子どもたちがAIに学習内容に基づいた問題を作らせ、自分たちの理解度を確認するツールとして活用しています。また、自分でまとめたスライドや考えをAIに提示し、より伝わりやすい表現に添削させることで、アウトプットの質を高めています。
公民分野では「倉吉市に必要だと思う政策」をテーマにAIとの対話を実施しました。AIに「倉吉市民の願いを実現する政治ディスカッションモード」という役割を設定し、子どもたちの提案に対して異なる視点から意見を返すことで、新たな疑問や問いを生み出すきっかけとしています。
社会科の学習を単なる調べ学習で終わらせず、AIとの対話を通して「もっと知りたい」という新しい問いを生み出しながら、主体的に探究を深める学びを実現することを目指しています。
Q:実際の導入効果や教員・生徒の反応はいかがでしょうか?
A:
<児童の変化>
AIを活用することで、調べ学習や自分の考えの整理が以前よりスムーズになりました。キーワードの調査や理解確認の問題作成をAIに任せることで知識習得の時間が短縮され、その分、社会科の問いについてじっくり考えたり、友達と議論したりする時間を確保できるようになっています。
<教員の反応・課題>
一方で教員側では、特に低学年ほどタイピングや文章理解といった基礎的なスキルが求められるため、活用にハードルを感じる声もあります。授業での活用に戸惑う教員も多いのが現状です。
そのため、まずは文書作成の補助やアンケート分析、児童の振り返り整理など、事務作業のサポートから導入を進めています。無理に授業で使うのではなく、教員の負担軽減につながる場面から少しずつ活用を広げています。
Q:導入に際する注意点や浸透するための工夫について教えてください。
A:子どもたちは当初、「AIに聞けば正しい答えが返ってくる」と魔法の道具のように捉えていました。しかしAIは誤った情報を提示することもあります。そのため、情報モラルやAIリテラシーの指導を並行して行うことが重要だと感じています。
具体的には、AIの回答の参照元リンクを確認させたり、情報の根拠を記録させたりすることで、情報の信頼性を自分で確かめる習慣づくりを行っています。
また学校全体に広げるためには、まず教員自身が公務の中でAIに触れてみることが効果的だと考えています。実際に便利さやリスクを体感することで、子どもたちへの適切な指導にもつながると感じています。
Q:今後の展望についてお聞かせください。
A:これからの社会を生きる子どもたちにとって、AIと無関係に生活していくことは考えにくい時代です。そのため、AIのメリットだけでなく、不完全さやリスクも含めて理解しながら活用できる力を育てたいと考えています。
AIを使うこと自体が目的ではなく、主役はあくまで子どもたちの学びです。AIはその学びを深めるためのサポーターとして位置づけ、子どもたちが自分らしく学べる活用方法を、現場で一緒に模索していきたいと思っています。
Q:スクールAIに興味を持っている先生方へメッセージをお願いします。
A:生成AIは、子どもたち一人ひとりの興味や理解のペースに寄り添う「個別最適な学び」を支える心強いパートナーだと感じています。これまで手が届かなかった細やかなサポートを、AIが補ってくれる場面も多くあるはずです。
正解が決まっていないからこそ、現場の先生方と一緒に新しい学びの形を創っていけるのではないかと思います。ぜひ一緒に挑戦していきましょう。

