2026年6月23日、東海大学菅生高等学校中等部にて、スクールAI認定ティーチャーによるAIリテラシーに関する出前授業を実施しました。
生成AIが急速に普及する中、子どもたちにはAIを活用する力だけでなく、情報を適切に読み解き、自ら考え判断する力が求められています。
今回の授業では、「最後に判断するのは自分」をキーワードに、情報リテラシーとAIリテラシーを関連付けながら、AI時代に必要な情報との向き合い方について学びました。
生成AIを活用した授業実践として、AIリテラシーの講義から、中学1年生、中学2~3年生の実践内容、授業後アンケートまで、生徒皆さんの取り組みと生徒の声をぜひご参考いただければと思います。
目次
東海大学菅生高等学校中等部でAIリテラシー授業を実施
―「最後に判断するのは自分」をテーマにAI時代に必要な力を育む―実施概要
実施校:東海大学菅生高等学校中等部
対象:1~3年生
実施日:2026年6月23日
講師:スクールAI認定ティーチャー 東京学芸大学附属小金井中学校 宮村連理先生
テーマ:「最後に判断するのは自分」~AIを正しく理解し、安全に活用するために~
授業実践のポイント
急速に活用が進む生成AI。スクールAIを活用した授業を実践をいただきました。今回の実践のポイントをご紹介させていただきます。
<本実践のポイント>
・SNSや生成AIの仕組みを理解し、情報を主体的に判断する力を育成
・エコーチェンバー現象やフェイクニュースの事例を通して情報との向き合い方を学習
・著作権や創造性の尊重について考え、責任あるAI活用について理解を深める
・生成AIを「答えを出すツール」ではなく、「思考を深めるパートナー」として活用
・学年に応じた課題設定を通して、多面的に考える力や根拠をもって判断する力の育成を目指した
授業・講義内容
情報があふれる時代に必要な「情報を見極める力」
授業前半では、現代社会における情報との向き合い方について考えました。
SNSやインターネット上では、自分の興味や関心に近い情報が優先的に表示される仕組みがあります。その結果、同じような意見や価値観ばかりに触れる「エコーチェンバー現象※1」や「フィルターバブル※2」が生じることがあります。
授業では、フェイクニュースやSNS上のトラブル事例を取り上げながら、情報が広がる仕組みについて考えました。

生徒たちは、面白半分で発信された情報や悪ふざけで作られたコンテンツであっても、それを見た人の善意による共有や拡散によって、想像以上に大きな影響を及ぼす可能性があることを学びました。
また、科学的な事実と社会の中で形成される合意は必ずしも同じではないことにも触れながら、一つの情報だけを信じるのではなく、多様な視点から物事を考えることの重要性について理解を深めました。
—補足情報—
※1「エコーチェンバー現象」同じ考えの友達や情報だけに囲まれ、自分の意見が正しいと思い込みやすくなる現象。
※2「フィルターバブル」アプリやSNS、AIが好みに合う情報だけを表示し、多様な情報に触れにくくなり、情報が偏ってしまうこと。
AIを理解し、適切に活用するために
続いて、生成AIの仕組みや特徴について学習しました。
AIは人間のように考えているわけではなく、大量のデータをもとに予測を行いながら回答を生成していることや、便利なツールである一方で誤った情報を出力する可能性もあることを確認しました。
また、生成AIを活用する際には、著作権やオリジナル作品を尊重することの重要性についても学びました。
AIが生成した文章や画像も、多くの人の知識や創作物を学習して生み出されていることを理解し、他者の権利や創造性を尊重しながら活用することの大切さを学びました。
生徒たちは、AIを過信するのではなく、自分自身で内容を確かめながら活用することの大切さについて考えました。
授業実践内容1「中学1年生」
中学1年生:プラスチックのメリット・デメリットを多面的に考える
1年生は、「プラスチックのメリット・デメリット」をテーマに活動を行いました。

まず、生徒一人ひとりが自分の考えでプラスチックのメリット・デメリットを整理しました。その後、整理した内容をスクールAIに入力し、AIからのアドバイスや新たな視点を受けながら、自分の考えをさらに深めていきました。
例えば、下記のようにメリット・デメリットなど、さまざまな視点について整理し、多面的に考察しました。
・軽くて丈夫である
・食品保存に役立つ
・医療現場で幅広く活用されている
・海洋ごみ問題
・マイクロプラスチックによる環境負荷
・廃棄やリサイクルに関する課題
生徒たちはAIから得た情報をそのまま受け入れるのではなく、「この視点は自分にはなかった」「本当にそう言えるだろうか」「他にも考えられることはないか」とAIからのアドバイスを参考にしながら、自分の考えを見直し、根拠を深めていきました。
この活動を通して、AIを答えを教えてくれる存在ではなく、自分の考えを広げ、深めるためのパートナーとして活用する姿が見られました。

授業実践内容2「中学2・3年生」
中学2・3年生:動物の分類を通して思考を整理する
2・3年生は、動物の特徴をもとに分類する課題に取り組みました。

まず、生徒たちは自分たちで「どのような基準で分類できるか」を考え、背骨の有無や体表の特徴、生息環境、繁殖方法などの観点から動物を分類しました。
その後、自分たちの分類結果や考え方をスクールAIに入力し、「他にどのような分類方法が考えられるか」「分類の根拠は十分か」といった視点からアドバイスを受けました。
例えば、
- 「なぜこの動物は哺乳類に分類したのか」
- 「別の観点で分類するとどうなるか」
- 「この分類方法にはどのような特徴があるか」
など、AIとの対話を通して、自分たちでは気付かなかった視点や考え方に触れながら、分類の根拠を見直していきました。
最後には、AIから活動全体に対するフィードバックも受け、自分たちの考えを振り返りながら理解を深めました。
活動を通して、生徒たちはAIから正解を得ることを目的とするのではなく、自分の考えを整理し、多面的な視点を得るためのパートナーとしてAIを活用する姿が見られました。

まとめ:授業の重点・AIリテラシーの学び
AI時代だからこそ、「最後に判断するのは自分」
今回の授業では、生成AIを活用する方法だけではなく、情報を主体的に判断する力の育成を重視しました。
AIは学習を支援する強力なツールですが、AIの回答が常に正しいとは限りません。また、SNSやインターネット上の情報も同様に、受け取った情報をそのまま信じるのではなく、自分自身で考え、確かめる姿勢が求められます。

授業の最後には、「AIがそう言ったから」「誰かがそう言っていたから」ではなく、多様な情報や意見を参考にしながら、最後は自分自身で判断することの重要性を確認しました。
生成AIが身近な存在となるこれからの社会において、生徒たちがAIと適切に向き合い、自ら考え行動するための第一歩となる授業となりました。
授業後のアンケートから見えてきたこと・生徒の声
授業後にはアンケートを実施しました。アンケートでは、多くの生徒から、AIを正しく理解し、学習や生活の中で活用していきたいという前向きな声が寄せられました。
自由記述では、「AIは便利だから使いたい」という声だけでなく、「AIを信じすぎず、自分で考えることが大切だと分かった」「情報を鵜呑みにしないようにしたい」「著作権や個人情報に気を付けたい」といった回答も多く見られ、AIリテラシーや情報リテラシーへの理解が深まった様子がうかがえました。
また、「テスト勉強に活用したい」「分からないことを質問したい」「自分の考えを深めたい」といった声も多く寄せられ、AIを答えを得るためだけではなく、学びを支え、自ら考えるためのツールとして活用しようとする姿勢もうかがえました。
生徒の声(一部抜粋)
「AIをそのまま信じるのではなく、自分で判断することが大切だと思いました。」
「フェイクニュースや詐欺など、情報をすぐに信じないように気を付けたいです。」
「スクールAIは答えを教えるだけではなく、自分の考えを深めることができると思いました。」
「勉強で分からないところを質問したり、テスト勉強に活用したいです。」
「AIは便利だけれど、頼りすぎず、自分でも考えることが大切だと思いました。」
「著作権や個人情報に気を付けながら使っていきたいです。」
「AIについて詳しく知ることができて、とても楽しかったです。」
「『最後に判断するのは自分』という言葉が印象に残りました。」
アンケートから見えた生徒の学び
今回のアンケートからは、生徒たちが生成AIを「便利なツール」として捉えるだけではなく、その特性やリスクを理解し、自分で考え、判断しながら活用することの大切さを学んでいることがうかがえました。
また、フェイクニュースやSNS上の情報との向き合い方、著作権や個人情報への配慮など、授業で扱ったAIリテラシーや情報リテラシーに関する内容が、生徒一人ひとりの今後の行動につながる学びとして受け止められていました。
さらに、「分からないことを質問したい」「テスト勉強に活用したい」「自分の考えを深めるために使いたい」といった声からは、AIを答えを得るためのツールではなく、自ら考え、学びを深めるためのパートナーとして活用しようとする姿勢もうかがえました。
今回の授業を通して、生徒たちはAIの便利さだけでなく、その可能性やリスクを理解した上で、「最後に判断するのは自分自身」であることを意識しながら、AI時代に必要な判断力や情報との向き合い方について考えるきっかけを得ることができたようです。
スクールAIでは、認定ティーチャーによる出前授業や教員研修など、学校現場のニーズに応じたさまざまな学びの機会を提供しています。
今回のようなAIリテラシー教育に限らず、教科の学習や探究活動など、学校の教育目標や授業内容に応じた実践も行っています。今後も、子どもたちがAIを適切に活用し、自ら考え、判断する力を育めるよう、学校現場に寄り添った実践を進めてまいります。
東海大学菅生高等学校中等部導入プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000180.000079497.html
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